野球は「打って投げて走って」つまり「走攻守」で成り立つスポーツです。
でも華やかで目立つプレイは「打つ=バッティング」ですから、
どうしても「打つ」ことに目が行きがちですね。
しかしオフェンス面(攻撃)で重要なのは意外に見落としがちな「走塁」です。
ここでは走塁の基本的な考え方と正しい教え方(練習方法)を詳細にお伝えします。
少年野球における走塁の考え方とは?
少年野球だけに関わらず、野球における「走塁」の考え方は、
「常に次の塁を狙う」
ということ。
当たり前の話ですが、ヒットや四死球で一塁に到達しても、それだけでは点になりません。
二塁へ進み、三塁に到達し、そしてホームに生還して初めて点に結びつきます。
・常に次の塁を狙う意識を植え付けること
野球というスポーツは点取りゲームです。
1対0での僅差でも、0点のチームが負けなんですね。
1点の重みがわかるからこそ、1点でも多く取る重要性を認識させるべきです。
ですから選手には、常にこの点を強調し続け、
「塁に出たら次の塁を狙い、最終的にホームに還ることが一番の目標」
であることを意識づけしたいものです。
少年野球における走塁の基本とは?
野球の走塁の基本は、ピッチャーがセットポジションに入るタイミングでリードを取ることです。
もちろんピッチャーからの牽制球がありますから、必要以上にリードを取ればアウトになる確率が高まります。
せっかく塁に出たのに、牽制球でアウトになってしまえば元も子もありません。
私も経験がありますが、牽制死は選手だけでなく攻撃しているチームの士気も下がりかねません。
・一塁ベース上のリードのあり方
リードの距離はケースバイケースです。
例えば一塁でのリード距離は、一塁手がベースに付いているかいないかで変わります。
一塁手がベースに付いているケースのリード距離は、選手の身長の1.5程度ですね。
(身長150センチなら2メートル30センチ前後)
一塁手がベースに付いていいない場合でしたら、身長の2倍程度が理想です。
(身長が150センチなら3メートル前後)
・二塁ベース上のリードのあり方
二塁に到達したケースでのリード距離は、遊撃手(ショート)と二塁手の守備位置によって変わります。
通常は遊撃手や二塁手がベースに付くことはありません。
でもキャッチャーのサインなどによって、ピッチャーがセットポジションに入った時に、どちらかの選手が素早く二塁ベースに入ってピッチャーが牽制球を投げることあります。
ですから走者は、遊撃手と二塁手の動きを警戒しながら、一塁にいた時より大きくリードを取るのが基本です。
・三塁ベース上のリードのあり方
三塁ベース上でのリード距離の取り方の考え方は、原則一塁ベースの取り方と同じです。
でも通常三塁手がベースに付くことはありません。
ですから大きくリードを取るのが基本ですね。
ただし右ピッチャーですと、牽制球が投げやすいですから、ピッチャーのモーションに十分注意することです。
少年野球の走塁の大切な教え方とは?
前述したように「常に次の塁を狙う姿勢」を大原則として、では具体的にどのように走塁方法を教えるか?
教え方の大事な点としては、以下の3つが挙げられます。
・最短距離を走塁すること
例えばバッターボックスでヒッティングして打者走者になった場合、
ホーム上から一塁まで最短距離を走ることが大事です。
ちなみに右打者と左打者では走るコースが若干変わります。
右打者の場合内野ゴロを打ったら、途中の3フィートラインまでは内野内を一直線に走ります。
そして3フィートラインからはファールラインの外を走らないといけません。
(ファールラインの内側を走ると、ケースによって守備妨害になるからです)
左打者の場合は、バッターボックスから一塁ベースまで一直線に走れば問題ありません。
ヒットを打った場合は一塁ベース手前からやや膨らんで、二塁を狙うコースを取ります。
ただしこの場合も必要以上に大きく膨らむのはNGです。
二塁打や三塁打になった場合、それぞれベース到達時間が遅くなりアウトになるリスクが高まります。
いずれにしてもどのベースに走塁する時でも「ベースまで最短距離を走る」ことが大変重要です。
・スピードを落とさず走塁すること
走塁における大切な考え方は「常に全力疾走」ということですね。
プロ野球中継で時折見かけますが、打者走者が内野ゴロを打った際に全力疾走を怠るケースです。
プロですからエラーするケースは稀であり、普通であれば一塁でアウトになるのが常です。
走塁ランナーコーチ上達革命 ~一塁・三塁ランナーコーチ技術と、試合を想定した走塁技術の上達法 ~オンライン版
それでも野球は何が起こるかわからない。
プロとはいえ守備でエラーすることもあれば、送球が大きく反れることだって起こりえます。
ましてやアマチュア野球では、十分エラーは考えられるわけですから「全力疾走」は走塁の基本といえます。
これは高校野球が良い見本ですね。
高校球児たちは常に「全力疾走」を心がけています。
逆に言えば「全力疾走」することで、相手守備のエラーを誘うこともあるんですね。
・スライディングの重要性
スライディングといえば、盗塁では当たり前のプレイです。
走塁時においてこのスライディングは必要不可欠なものです。
盗塁に限らず走塁のあらゆる場面でスライディングは行うべきです。
その理由は一番に怪我の防止です。
スライディングは怪我をしやすいというのは考え違いであり、むしろスライディングを正しく行うことで、怪我を防止できるのです。
例えば二塁へ盗塁(通常の走塁でも)の時に、滑り込まずにタッチプレイとなると、相手守備側とぶつかってしまいかねません。
何よりスライディングを行わない時は、走者はベース手前で急ブレーキをかけなければなりません。
これが走者の脚に大きな負担をかけてしまい、大きな怪我につながりかねません。
スライディングのやり方を、正しく指導するのが走塁面での重要な点であることは間違いありません。
少年野球で効果的な走塁練習方法とは?
では、少年野球において走塁とはどのような教え方がベストなのでしょう?
以下3つの点に着目してください。
・正しい走り方を教えること
走塁が重要とお伝えしましたが、ここで基本的な問題は、
「正しい姿勢で走る」ことです。
1、前傾姿勢を保ち、2、顎を引き締め、3、腕を大きく振る
この3つが基本的な「走塁姿勢」です。
・ベースランニングでタイムを計測すること
正しい走塁法を教えたら、ベースランニングでそれぞれの選手のタイムを計測することです。
バッターボックスでバットを振ってからそのままスタートです。
第一歩を踏み出した瞬間ストップウォッチを押します。
各ベースを踏んで回り、ホームベースを踏むまでのタイム計測です。
ベースランニングタイムを各選手に自覚させ、1秒でも早くタイムを縮めることを意識させましょう。
なお、ベースランニング一周タイム以外に、二塁ベースにスライディングするまでのタイム、
あるいは三塁に滑り込むまでのタイムなどを、記録するのも方法の一つです。
・実戦形式で走塁すること
走塁の仕上げとしては「実戦形式で走塁すること」です。
走塁を教える選手を一塁手がベースに付かせて、
1、ピッチャーのモーションを盗み二塁への盗塁。
2、ノッカーが外野へのヒットを打ち二塁まで走塁させる練習。
3、同時に三塁まで行けるケースを想定させて走塁させる練習。
さらにタッチアップ練習も行うべきです。
ノッカーが外野フライを打ち上げ、三塁からホームへのタッチアップ。
あるいは、二塁に付かせた選手がライトフライなどで三塁にタッチアップする練習も行うべきです。
走塁の正しい教え方を学べる優良教材
野球において、走塁の正しい考え方や指導法を教えてくれる野球書籍はいくつかあります。
何冊か熟読しましたが、元読売巨人軍の鈴木尚広選手の「走塁バイブル」が、わかりやすく大変タメになりました。
またDVD教材では、以下の「走塁ランナーコーチ上達革命」がお勧めできます。
元千葉ロッテマリーンズの代田建紀選手が監修された教材です。
こちらはより実践的で、少年野球はもちろんアマチュア野球全般に応用できる有料教材です。
まとめ
野球における走塁は、オフェンス面ではヒットを打つ以上に重要なことです。
ヒットやホームランといった華やかなバッティング面だけに目が行きがちですが、
一つでも次の塁に進もうとする姿勢こそが、最終的に点に結びつくのです。
1点差で勝つか負けるか、これこそが走塁の結果次第であることを自覚することが大切です。
「バッティングにスランプはあっても、走塁にスランプはない」
この名言を忘れてはなりません。