2019世界野球が開幕し、侍ジャパンが3連勝で見事予選リーグ突破。
野球狂オヤジとしては嬉しい限りです。

台湾桃園で3試合行われた予選リーグを観戦しましたが、
特に印象に残ったのは第2戦となったプエルトリコとの試合で、

相手打線を完全に手玉に取ったサブマリン投法の、
高橋礼投手ですね。

アンダースロー(サブマリン投法)はなぜ打てない?

日本球界でも数少ないアンダースローの高橋礼投手は、
福岡ソフトバンクホークスに在籍しています。

マウンドスレスレに右腕をしならせて投球されたボールに、
プエルトリコの強打者たちはヒッティングに出ても、
ほとんどが内野ゴロの山でしたね。

高橋礼投手の球種はストレート以外にシンカー・スライダー・カーブ、
そしてストレートの球速は140㎞代前半。

球種もストレートの球速も一般的なプロ投手と比較して、
決して抜きんでているわけではありません。

それでいて日本球界でもピッチャーとしてすばらしい実績を挙げ、
世界野球でもあれだけの活躍をしている・・・

その理由はひとえに高橋礼投手のピッチングフォームである、
アンダースロー・・・

つまり「サブマリン投法」と呼ばれる投球術によるものです。

アンダースロー(サブマリン投法)の高橋礼投手

日本プロ野球歴代のアンダースロー(サブマリン投法)投手

過去の日本球界においてこの「サブマリン投法」で、
一躍名を馳せたのは何と言っても阪急ブレーブス時代の、
山田久志投手ですね。

アンダースローながらその球速は150km近く出ていた、
というから驚きです。

歴代のサブマリン投法で実績を上げたピッチャーを挙げますと、

皆川睦雄、秋山登、足立光宏、杉浦忠、高橋直樹、坂井勝二・・・
比較的最近では渡辺俊介、山中浩史、牧田和久などですね(敬称略)

ちなみに野球のメッカMLBではアンダースローのピッチャーは、
第二次世界大戦前にビリー・ラインズという名投手がいたようです。

しかしその後はアンダースロー投手はごくごく少数派であり、
2000年代にチャド・ブラッドフォードと言うピッチャーが活躍して以降、
MLBで活躍するアンダースロー投手は現在はほぼ皆無です。

ですからこのジャンルでの実績は日本の方がはるかに上ですね。

ではなぜ過去あるいは現在でもMLBはじめ野球先進国では、
アンダースローによるサブマリン投法が採用されていないのか・・・

海外の野球界でアンダースロー(サブマリン投法)が採用されない理由

その要因は何と言ってもサブマリン投法が、
「運動物理学的」にボールパワーが伝わりにくい投げ方だからです。

単純に考えても投球的に投球腕や全身のパワーが一番伝わりやすいのは、
オーバースローのように「上から腕を振り切る」ことです。

そう言う意味でサブマリン投法は、
「運動物理学的に反したモーション(動作)」
であると言えます。

その証拠に一般的にサブマリン投法はオーバースロー以上に、
背筋腹筋に加え下半身の筋力が必要であるとされています。

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ですから何事にも合理的に物事を考え、
常にパワー重視する外国の野球選手は、

「身体に負担が大きくてそれでいて球速を上げにくい、
(パワーを伝えにくい)アンダースロー(サブマリン投法)は、
メリットがない」

と考えるわけです。

そう言う意味ではサブマリン投法のピッチャーは、
オーバースローピッチャー以上に、

下半身を中心とした筋力強化に努めないといけない、
とされています。

さらに一投球の運動量はオーバースロー以上に激しいため、
持続力(スタミナ)までも必須になってきます。

そんなデメリットがあるサブマリン投法ですから、
合理主義者が多い諸外国野球では受け入れられないわけです。

アンダースロー(サブマリン投法)のメリット

それでいて日本球界にサブマリン投法を採用する、
ピッチャーが点在する理由ですが・・・

1、ボールの出どころがわかりづらい。

2、アンダースローは球道(球筋)に大きな特徴があり、
バッターの目線が狂いやすく打ちづらい。

大きく分けての2つが挙げられます。

ボールの出どころがわかりづらい理由は、
アンダースローの場合オーバースロー以上に腕をしならせるからです。

アンダースロー(サブマリン投法)のメリット

さらに投球腕がマウンドスレスレに振られるため、
バッターにとっては地面から突然ボールが出てくるような、
錯覚を覚えるようです。

そして球筋についてですが、
オーバースローの場合ボールが浮き上がることは100%あり得ません。

バッターボックスより約25センチ高いマウンドからたとえ、
球速160kmのストレートボールを投げても、
ボールがホップする(浮き上がる)ことはありません。

数ある変化球でもストンと落ちるフォークボールはともかく、
横にスライドしてボールが逃げたり食い込むことはあっても、

ボールがホップする(浮き上がる)ことはないのです。

元読売巨人軍の江川投手の全盛期の頃に、
「江川投手のボールは速くて浮き上がってくる」

との感想を漏らしたバッターが多くいましたが、
それはあくまで「目の錯覚」でしかありません。

少年野球バッティングがうまくなるコツと方法プロ野球選手になるために小学生のうちにやっておくべきバッティング練習

オーバースローピッチャーのボールが浮き上がることはない!

本来上から投げられたボールは、万有引力の法則を持ち出すまでもなく、
必ず「下に落ちる球道」を描きます。

これは球速が遅ければ遅いほど落ちる時間が速くなりますが、
仮に160kmの球速でも結果的に18.44メートル先のバッターの手元では、
わずかですが落ちているのです。

もちろん球速とともに「ボールの回転数」も大きく影響しますが、
球速が速いと「ボールが落ちる差異」が少ないため、

それがバッターにとっては浮き上がるような錯覚を、
覚えてしまうのです。

ちなみにオーバースロー投法で実際ボールが浮き上がる現象は、
球速が180~190kmを超えないと起き得ないと言われています。

ところがサブマリン投法ではその球道がまず、
「下から上に浮き上がって」きます。

アンダースロー(サブマリン投法)はボールが浮き上がる画像出典カープまにあ

そして投球された球種にもよりますが、
サブマリン投法によるボールはその先軽く落ちたりストンと落ちたり、

あるいは横にスライドしたりとバッターにとっては、
大変打ちにくい球筋になるのですね。

プロのバッターにとってオーバースローによる球速140km前後の、
ストレートボールは大変打ちやすいとも言われていますが、

サブマリン投法によるストレートは同じ球速でも、
その不慣れな球筋のため打ちにくいと言った現象が起きるのです。

さらに浮き上がってくるボールに対してバッターのスイングは、
どうしてもヘッドが下がり下からバットが出やすくなります。

アンダースロー(サブマリン投法)は打ちにくい画像出典カープまにあ

野球少年のアンダースロー(サブマリン投法)はあり?

では少年野球の世界でこのサブマリン投法は、
いかがなものかと言えば答えはNoと言わざるを得ません。

理由は至ってカンタンです。

「筋力的な問題」に加え少年野球の場合、
「ピッチャー専任」の野球少年は皆無だからです。

仮に小学生の間にピッチャーしかやらなかったとしても、
その先の中学・高校で絶対ピッチャーであるとは言い切れないからです。

ピッチャー以外のポジションに就く可能性の方が、
はるかに高いのです。

何より身体が出来上がっていない小学生が、
アンダースローのような負担の多いフォームで投げ続ければ、
「野球肘」などの障害を負うリスクが高まります。

間違っても小学生あるいは中学生あたりに、
サブマリン投法を指導するようなことがあってはいけません。

MLBで起きたアンダースロー(サブマリン投法)ピッチャーの悲劇

なお話がちょっと戻りますが、

MLBでアンダースローピッチャーが永年排出されなかった、
その原因の一つとして、

「カール・メイズ事件」と言うものがあるそうです。

【カール・メイズ事件】
インディアンスのレイ・チャップマンがヤンキースのアンダースロー投手カール・メイズから頭部に受けた死球のために、翌日未明に死亡するという事故が発生している

出典-Wikipedia

1920年8月16日にニューヨークのポロ・グラウンズで行われた試合にて。
激昂した世論は今度は彼の投法を目の仇にした。

出典-アンダースローへの哀歌

これが当時の野球を目指すアメリカ人すべてに広がり、下手投げで投げる者がいなくなり、ついには滅んでしまった。

メジャーリーグ全体でマスメディアも巻き込んで「下手投げという投げ方はボールの出所が見えなくて危険だ」というキャンペーンを張った。
出典 – Yahoo!知恵袋

この事件以降、MLBでは永きに渡ってアンダースローは、
“タブー”となったそうです。

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